地球規模の課題解決を目指す人材を育てる、筑波大学の「地球規模課題学位プログラム(BPGI)」。
同プログラムでは「JV-Campus」を活用し、国境を越えた事前・事後学修を実践しています。
今回は、指導にあたるプログラムリーダーとBPGI担当教員、また実際に学ぶ留学生に、プログラムの概要やJV-Campusの活用法、そして教育に対するそれぞれの想いを聞きました。
―BPGIとはどのようなプログラムなのでしょうか。
大庭先生(BPGIプログラムリーダー):
地球規模課題学位プログラム(BPGI)は、英語で学ぶ学士(学部)の課程になっています。
対象とする特定の学問分野はなく、地球規模課題に対してあらゆる学問領域から取り組むために必要な知識などを学んでいくプログラムです。
地球規模課題の解決に貢献できるような国際的な人材を育てたいという目的があり、留学生が対象になっています。
本プログラムでは通常の講義ではなく、PBL(Problem-based Learning)やアクティブラーニングを実践しています。
学生は自分たちで課題に取り組み、グループディスカッションをして課題解決をしていきます。

(写真:BPGIの授業風景)
―BPGIではどういった授業を行っていますか?またJV-Campusを授業でどのように活用しているのでしょうか。
大庭先生:
BPGIのPBL型の学びは学生の主体性を促進する一方で、基礎知識を学ぶことが難しくなります。
学生は、あらかじめ課題に取り組むための基礎知識や、授業の中で見えてきた課題に関する知識を学んでくる必要があります。
授業の時間外で学ぶことのできる機会、そして教材・内容というものが大切になってきます。
ここに問題意識があったので、「JV-Campusを使って時間外に学修するような教材をもっと作っていこう」ということが自然に決まりました。
秋山先生(BPGI担当教員):
BPGIでは地球規模課題について幅広く考えることが教育の目的ですが、その中で私は特に人間や社会といった視点から、
地球環境を含めた地球規模課題について考える授業を担当しています。
「General Introduction to Global Issues (Human)」という授業では、ビデオ(動画)とJV-Campusを使用しています。
授業は基本的に前提となる知識を学んでいただき、それを元にディスカッションをしていく構成です。
事前学修として動画を見て小テストを受けていただき、それを元に教室でディスカッションをします。
そのディスカッションの基盤を作るための知識を導入するところで使っています。アカデミックにものを考えるということはやっぱりどうしても時間が必要ですから、
それを考えると事前にそれぞれが任意に都合のつく時間に動画を見て、その後に議論をしていく、その間に時間があるというのは、結構良いことなのかなと感じています。

(図:General Introduction to Global Issues (Human))
大庭先生:
学生が学修を積み重ねていくと、理解度確認テストで満点を取れるようになってきます。
そしてこの満点を取ったということに対して、「あなたはこちらまでこの学びを達成しましたよ」「こういったことができるようになりましたよ」という学修成果に対して
JV-Campusでは“デジタルバッジ”という形で証明を出すことができるようになっています。これが非常にJV-Campusを使う大きな利点の1つです。

(図:BPGIのデジタルバッジ)
―JV-Campusでの授業はどうでしたか。また、デジタルバッジを取得されたそうですね。
Hiruniさん(学生):
JV-Campusは使いやすかったです。講座もとても興味深く、特に面白かったのは選択式の確認問題(MCQ)でした。
間違えたときは動画に戻って内容を学び直し、もう一度クイズに取り組めます。自分に足りないと感じたところを学び直せる点が、とてもよかったです。
忘れてしまっても、戻って学び直せます。「生命科学・分子医学の基礎」のコースを無事に修了した後、デジタルバッジを取得しました。
JV-Campusでのコース受講はとても気に入っています。私にとっては、履歴書を充実させることがとっても大切です。
選考に関係する講座を修了するとデジタルバッジを取得でき、それを就職活動サイトで活用できる点に、とても魅力を感じました。
学んだ内容や、自分のスキル・知識を示せます。私にとって、プログラムをやり遂げるためのモチベーションの1つでした。

(図:生命科学・分子医学の基礎)
―JV-Campusを活用するメリットは何でしょう。
大庭先生:
授業で基礎知識をガッツリ教える必要がなくなったことです。
いきなり学生が楽しめる課題に取り組んでもらえるようになり、学生の授業での目や取り組む姿勢がとても前向きになりました。
積極的に授業に参加して、時間を有意義に使えるようになったと感じています。
大学での学びは知識の伝達だけでなく、その場を使ってしか学べないようなこと、先生と学生が場を共有するからこそできる教育のスタイルに変わってきていると思います。
秋山先生:
私は基本的に授業を取っていない方でもアクセスできるように作っているので、多くの方に様々な知を伝えられるのがJV-Campusの良いところです。
「知の民主化」を考える上ですごく大切だと思っています。
知が公共財であるならば、大学に行く障害を乗り越える前の入口として、できるだけ開かれた形で知が共有されていくプラットフォームになることに価値があると考えています。
また、JV-Campusを利用することで自分の授業を見直すきっかけになり、構成や前提を再確認できるのは大変ですが、自身の教育的価値の向上にも繋がります。

(写真:秋山先生)
Hiruniさん:
いつでも、どこでも学べます。さらに、JV-Campusは次に受講できる講座も提案してくれます。JV-Campusは、継続した学びを後押ししてくれます。
また、他の学修プラットフォームの多くは非常に高額ですが、JV-Campusには無料のコースがたくさんあり、他に学びたい科目がある場合に受講するのにとても助かっています。
―BPGIやJV-Campusでの学びを通して、ご自身の視野や将来の目標にどのような変化がありましたか?
Hiruniさん:
「問題に焦点を当てる時、自分自身の視点だけで考えてはいけない」という意識を持つようになりました。
自分の視野を広げ、周りの人たちと良好な関係を築き、異文化理解を深める必要があります。他国の人とコミュニケーションをとる際、主要言語は異なります。
第三言語や第二言語でコミュニケーションをとることになり、それが、人々が本当に伝えようとしている考えを理解する上での障害になるかもしれません。
例えば、地球規模の課題や海洋問題について他の人がどう考えているのかを本当に理解することが難しくなる可能性があります。
人々を理解する方法や、互いを理解する機会を他の人に提供する方法を学ぶことは、本当に必要不可欠だと思います。
また、生物学・分子医学のプログラムを履修したことで、自分が重点を置いていない分野や優先していない科目についても知識を広げたいと思うようになりました。
社会における他の分野の基礎を少なくとも知っておくことは、非常に重要だからです。法律、政治、数学、その他のどんな科目でも構いません。
社会にとって価値ある市民として地に足をつけて立つためには、すべての科目について少なくとも少しは知っておくことが本当に大切だと思います。
卒業後すぐに、持続可能性(サステナビリティ)または環境経済学の修士課程に進学する予定です。将来は、サステナビリティ・コンサルタントになれたらいいなと思っています。
持続可能性は、とても大切なことだと感じているからです。もしその道に進まないとしても、機会があれば国連などの国際機関で働きたいです。
BPGIで身に付けた知識やスキルを生かして、自分の役割を果たし、世界をより良くしていきたいです。
―最後に、学生にはどのような能力を身につけ、活躍してほしいですか?
秋山先生:
まず大事なのは「何がイシュー(課題)か」を見極めることです。
様々な事柄を問題と認識する価値観が重要で、多様な視点に触れて議論する中でそれに気づいてほしいです。
また、「モヤモヤに耐えながら進む」こと。地球規模課題は難しく簡単に解決できるものではありません。
難しいんだけれども諦めないで、粘り強くアプローチし続けることが重要だと思っています。
授業で挙げている国際的な取り組みというのは、まさに地球規模課題をどうもがいてきたかというその歴史のことなので、
そういったことを踏まえてそれぞれが果たすべき役割などを考えてもらえると嬉しいなと思っています。
大庭先生:
一言で言えば、世界的に活躍ができる人です。
分野や職種を問わず、世界で活躍をして、地球規模の課題を自身で見つけ、問いを作り、その問いを解いて社会に還元できる人材になってほしいと考えています。
どんな場所でもリーダーシップを発揮して、現場でもきちんと働ける人材になっていってほしいですね。
地球規模課題学位プログラム(学士) - JVC個別機関Box » JV-Campus
地球規模課題学位プログラム(学士)HP
制作:筑波大学JV-Campus連携室
協力:地球規模課題学位プログラム(学士)