前身である「スーパーグローバル大学創成支援事業」の後継として始まった
「ソーシャルインパクト創出のための多文化共修キャンパス形成支援事業(通称ソーシャルインパクト事業、略称SI事業)」。
その中核である「多文化共修」と、学びを支えるプラットフォーム「JV-Campus」は、学生たちにどのような変化をもたらしているのでしょうか。
プロジェクトを牽引する3名の教職員の皆さまにお話を伺いました。
―まず、ソーシャルインパクト事業の目的と、前身の事業との違いを教えてください。
池田先生(多文化共修推進企画会議の議長):
「スーパーグローバル大学創成支援事業」と「ソーシャルインパクト事業」の最大の違いは2点あります。
まず、スーパーグローバル事業は「大学の教育、研究、ガバナンスのあり方を変え、世界に通用する大学を作る」という、大学そのものを変えることが大きな目的でした。
それに対してソーシャルインパクト事業は、大学が変わるのではなく「学生一人ひとりが変わる」という点に重きを置いています。
学生一人ひとりが国際化し、留学生を含む多様な人たちと共に協働できる人材になってほしいという願いが込められています。
もう1つの違いは、大学が変わるだけでなく「社会も変えたい」という点です。
―その主軸となる「多文化共修」とは、具体的にどのような取り組みなのでしょうか。
池田先生:
それぞれの違う文化やバックグラウンドを活用し、異なる発想、アイデア、視点を出し合うことにより、
日本人だけ、あるいは外国人だけでは気づかなかったことに気づき、片方だけでは思いつかなかった解決策を練り出していくものとなります。
また、ここに地域社会や国際社会のステークホルダー(市民、自治体、企業など)にも入ってもらいます。
その人たちから「今どのようなことに困っているのか」という課題を語っていただいたり、課題の現場に連れて行ってもらったりして、
地域だけでは今まで思いつかなかった新しい発想による解決策を筑波大学から提案することを考えています。
―実際にプログラムを通して、学生たちにはどのような変化が見られますか?
森尾先生(教授):
筑波大学の中の学生と言っても、今まで全く接点のなかった学生同士がグループを組んで1つの仕事をやるのですが、
その中でいろいろな発見があったり、お互いを知るだけでなく「自分の気付かなかった良いところや特徴」を再認識したりしていました。
また、エジプトでは現地の大学生と一緒にフィールドワークやグループワークを行いましたが、単に仲良くなるだけでなく、
国際的な視点を持つことができるようになったと実感しています。
―グループワークではどのような指導をされているのですか?
森尾先生:
最初の初期段階(アイスブレイク)で、必ず3つのことを決めてもらっています。
グループ名をつけること、リーダーを決めること、書記を決めることの3つです。
グループ名をつけるのは、グループワークに対して当事者意識(オーナーシップ)を持ってもらうためです。
リーダーと書記を決めるのは、まさに役割分担です。
また、グループワークでは「誰も記録をとっていない」ということが往々にしてあるので、書記(記録係)を明確にして形に残すようにしています。
―フィールドワークの成果は、どのようにアウトプットするのでしょうか。
森尾先生:
フィールドワークの取材から課題を考えてもらい、それを分析・解決する方法について、これまでのプログラムでは共通して「漫画」にしてもらっています。
従来の課題解決(特に地球規模課題解決)の議論では「社会がどうなるか」という大きな視点が中心になりがちで、
個人の生活レベルで「その課題がどうインパクトを与え、解決によって未来がどう変わるか」という議論はあまりされていません。
それを漫画のストーリーにすることで、身近な個人の生活におけるインパクトを考えてもらう狙いがあります。

(図:SIのコンテンツカード)
―こうした多文化共修の取り組みを学内外へ広めるために、JV-Campusの「コンテンツカード」が活用されているそうですね。
石原さん(SI推進室コーディネータ):
このプログラムの魅力を伝える1つの方法として、コンテンツカードを活用しました。
プログラムの数がたくさんあるということが一目で分かったり、サムネイルの写真からどんな活動がされているか想像できたりするので、
そのページをお見せして紹介する形で活用しています。
コンテンツカードの良い点は、英語のページと日本語のページをすぐに切り替えられるので、
特にパートナー校や他大学、海外の大学に紹介するときにも使わせていただいています。
JV-Campus上のページではバッジごとに色分けして配置しています。
―「デジタルバッジ」は学生にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?
池田先生:
このデジタルバッジは卒業後も一生残る能力証明になります。
JV-Campusは一度メールアドレスでIDを作れば卒業後も一生自由にアクセスできるため、大学という場所や期間を超えて学習履歴を証明できる大きなメリットがあります。
石原さん:
ただ受け取るだけでなく、そのバッジにどういう価値があるのかをもっと伝えていく必要があると思っています。
具体的には、バッジには自分が共修に参加した様々な情報が記載されているので、学生にとっては自分の活動を証明する非常に価値があるものになります。
将来的には、学生がバッジを奨学金の申請に使ったり、履歴書に載せたりといった活用ができるといいなと考えています。

(図:SIのデジタルバッジ)
―最後に、このプログラムを経験した学生たちに期待していることを教えてください。
森尾先生:
ぜひグループワークの経験を生かしてほしいです。
今後社会に出ても、いろいろなところでチームワークやグループワークをする機会があります。
そのときに「自分がどのような役割をすれば場が盛り上がるか」「どのような進め方をすればグループワークが成立するか」を、今回学んだことをベースに発揮してもらいたいです。
石原さん:
学生からは本当に「インパクトがあった」という声を多く聞いています。
多文化共修は短い期間の研修が多いのですが、それでも「自分の中の何かが大きく変わった」という学生が非常に多いです。
言葉も専門も違う他大学の学生との活動はもちろん、その中で一緒に社会課題に取り組むというPBL(課題解決型学習)の部分が、
学生にとっても魅力になっているのだと思います。
池田先生:
「DOJO(道場)」をはじめとする世界各地で多文化共修を行った学生が、その先に長期留学へ行ったり、卒業後に海外の大学院へ学位留学をしたり、
世界を舞台にグローバル企業で活躍したり、あるいは自ら起業してグローバルなスタートアッパーになったりする、そういう人材が育っていくことを目指しています。
事業期間後も見据えて、世界で地球規模の課題を解決できるようなグローバルな「スタートアッパー」が、このプログラムで学んだ学生の中から現れてくることを願っています。
筑波大学ソーシャルインパクト推進室 - JVC個別機関Box » JV-Campus
筑波大学 ソーシャルインパクト推進室
制作:筑波大学JV-Campus連携室
協力:ソーシャルインパクト推進室